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CHAPTER2 主語S以外のものが主題になる場合  SECTION2-1

  主語S以外の主語①- 副詞要素M2

この場合、M2 S V と M2 V S の2通りありますがここでは前者のM2 S Vについて書きます。個の語順の機能はふたつあります。

  (A)コントラストを示す

  (B)ローカルな文脈を設定する

 

A)の例文から見てみよう!

For Engels, socialism is, first and foremost, the control of nature, or the anarchic drive of a society.  ②It should not be surprising that Lenin's idea of turning society into "a gigantic factory" derived from this understanding. ③Marx, however, proceeds along a completely different line.④ In Capital  Marx stresses the importance of manufacturing   rather than that of the factory or machine.⑤ As Lewis Mumford noted, the notion of the factory and factory organization came from the army or temple, and thus its organizational system is that of the tree. 

(意訳)

エンゲルスにとって社会主義はとりわけ自然、社会の無秩序な運動の制御であった。②社会を巨大工場に帰るというレーニンの考えがこの理解から来たのは驚くほどの事ではない。③しかし、マルクスは全く違った方向に進んだ。④『資本論』でマルクスが強調したのは工場や機械の重要性よりもマニーファクチャーの重要性だ。⑤ルイス・マンフォードがいったように、工場と工場組織の考えは軍隊または寺院から由来したのでありこうしてこの組織体系はツリーである。

①と④の副詞要素M2 に注目してください。For EngelsとIn Capital は時を同じく生きたふたりの社会主義者の対比を示していますよね。エンゲルス社会主義=工場組織と考えたのに対しマルクスはそれをアナーキ的に考えていることが読み取れるでしょう。

 

 M2 S V のパターンを連続させればそれがコントラストをなしているのは明白です。しかし、コントラストは連続したふたつの節で表現されるとは限りません。この例文のように複数のセンテンスあるいはパラグラフにまたがって形成されることもあります。従って、時、場所、条件の副詞要素M2

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B)のローカルな文脈の設定とは

Since it was discovered that a non-Euclidean geometry could be established by introducing the postulate "parallel lines intersect," faith in mathematical architectonicity has been fundamentally shaken. ②The flaw in Euclid's work lies in his reliance on perception, or natural language, and in his inference of the straight line and point. ③On the other hand, non- Euclidean geometry made it clear that mathematics could exist independent from reality or perception; in one sense, this constituted a move toward a more rigorous formalization of mathematics.

(意訳)

①非ユークリッド幾何学は「平行線は交わる」という定理を導入することで設立されたものであるから、数学の構築性への信仰は根幹から揺らいでいる。②ユークリッド公理の流れは知覚、自然言語そして直線と点の推論にある。③他方で非ユークリッド幾何学が明らかにしたのは数学は現実や知覚とは独立して存在しているということだ。ある意味、これは数学のより厳密な形式化への方向性を構築しているのだ。

     

 副詞要素M2が主題になるもう一つの機能はそれが旧情報であるから先に触れておきたいという望みを満たすことにあります。前にも言いましたように旧情報は古い情報とは限りません。もう一度その表を出しておきます。

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①の副詞節「非ユークリッド幾何学は『平行線は交わる』を基礎に置いている」ということを旧情報にしているということですが、これはGivenBでこの著者の読者なら多くの人が知っている情報価値の低いものということになります。読み進めれば、相当高度な内容が展開されることでしょう。

 

③のOn the other handは①の相手となるコントラストを示しているのではなく、対比ではありますが②とをつなぐ連結副詞句とみられます。①の副詞節と③の副詞句では対称的ではありませんからね。

 

副詞節M2が末尾に来るのはどういうことか?

 

  それはその節が示す内容を新情報として伝えたいわけですね。

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 もう一度、情報構造をおさらいしておきましょう。

 

①Plato banished poets from his state because they did not understand the products of their own making and as a result would damage language itself. ②Late eighteenth- century romanticism altered the relationship between philosophy and poetry. ③Romanticism gave a legitimacy to the cognitive drives of the body, to sense, emotion, passion, and so forth, all of which were favored over formal knowledge. 

(意訳)

プラトンが詩人たちを自分の国から追放したのは、彼らが自分たちの制作物を理解せず、その結果言語そのものを毀損してしまうからだ。②18世紀後半ロマン主義の熱狂は哲学と詩の関係を変えた。③ロマン主義は身体の認知作用つまり感覚、感情、熱情、等々を正当なものとした。それらすべては形式的な知よりも人気があった。

①のbecause節が新情報となることでそこから②以下を展開するのです。

しかし、②③と主語が文頭に来ているのですが、②の頭は逆接Butがあった方がいいと思いますね。①のbecause節と②の節の論理関係を捉えられるかどうかが内容理解の鍵となるでしょう。③の主節は文頭に主語Sがきていて②の末尾にも同じ意味の語句はないから③の主節は②のいいかえです。③の形容詞節は関係代名詞の名の通りすぐ後ろの先行詞をうけたall of whichが主題となっているから題術(were favored以降)は新たな展開なのです。