英文を読む

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スーパー英文法 PartⅠ

 PartⅠで取り上げるのは主題選択と情報構造についてです。読むことにおいて念頭に置くべきは文(sentence)ではなく節(clause)である。その理由を知るためには次の2文を検証してほしい。

① Buddhism, which is said to have entered Japan in the sixth century, was established as a atate religion in the seventh and eighth centuries because Yamato court, which at the time have achieved unification through the conquest of disparate clans, made use of it as a world religion that would transcend the gods of the multiple clans. ② For this reason, it was at the time no more than an esoteric religion centered on the pacification and protection of the realm by way of  proyer and ritual[chingo kokka].    

① 仏教は6世紀に日本に入ってきたといわれているのだが7世紀と8世紀に国家宗教として制度化された。そのわけはヤマト朝廷は当時分散した氏族を征服し、それを多様な氏族の神を超越する世界宗教として利用することにあった。② だから当時それは鎮護国家の中心に置かれた秘奥の宗教にすぎなかったのだ。 

  ①と②はどのような関係にあるのでしょうか。センテンスを単位にしてしまうと①の全体と②の全体を関係づけようとしてしまいます。ところが①の主節は導入であり前提なのです。「仏教が6世紀に入り7,8世紀に国教となった」はたいてい歴史の教科書に載っていますよね。

 ところがbecause以下の副詞節は筆者の見解であり、多くの読者に認知されていない情報なのです。②の代名詞thisは①の副詞節の内容を指しセンテンス全体は副詞節以下をさらに展開するのです。「神々を超越する世界宗教がたんなる秘奥の宗教」と言い切るのに仏教が6世紀に入り7,8世紀に国教となった」はあまり関係がないですよね。

 

 このPartⅠのキーコンセプトは節の主題のノーマル度です。書かれた英語では、主語が節の先頭にあるときが最もノーマルです。主語以外のもの(副詞要素M2や目的語Oや補語Cなど)が置かれる主語が主題となっている場合に比べノーマル度にかけるのです。

 ただし、副詞要素M2は比較的ノーマルとみてよいでしょう。それが節の先頭に出てくることは多いからです。そして最もノーマルさに欠けるのは目的語Oなのです。以下、富士哲也氏の『英文読解のグラマティカ』を構成する

  •   CHAPTER1 主題・主語と情報構造
  •   CHAPTER2 主語以外のものが主題になる場合
  •   CHAPTER3 受動態・There is構文・「強調構文」   

をフレームにPartⅠを解説していこうと思います。