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CHAPTER3 受動態・There is構文・「強調構文」  SECTION3-2

主題と情報構造から見たThere is 構文の役割

 Thereは具体的な内容を持たない主語で主題であります。それは付加疑問をつけたときにThere is ....isn't there?となることからわかりますね。

では、主題が無内容ということはどういうことでしょう?

それは

 「以下の話は前提がありません

というわけです。

 受動態でby...がある場合やMVS,  CVS の語順と比べるとThere is構文だけが旧情報を持たず純粋に新情報のみを伝えるのです。

 

  1. 一切の旧情報を前提とせず新情報を導入
  2. howeverやButを伴う場合それまでの内容を否定し新しい内容へと方向転換する
  3. 接続語句を伴わない場合、実例を上げるか、その意見の裏付けとなる事実を提示する

それでは、上記の例文を取り上げてみます。

 

There are two meanings to repetiton in history. The first is when people  evoke events or people of the past when doing something new.The second type of repetition is when the past, despite being rejected and forgotten, is nevertheless repeated.

(意訳)歴史の反復には二つの意味がある。ひとつは人々が何か新しいことをなそうとするとき過去の出来事や過去の人々を援用するときに訪れる。ふたつめの反復形式が起こるのは過去に拒絶され忘却されたにもかかわらず反復されるものだ。

 

 

Hegel exercised an ex post facto proof(rationalization) stating that, since Christianity developed historically, Christ was God. In cotrast, Kierkegaard stressed that it was important to "contemporaneously" confront Christ as God, appearing in "lowliness."  What is important to note here,however, is that there is no ground that we can appeal to in order to acknowledge Christ as God; to acknowledge this requires a "leap" or "a "leap in the dark."

(意訳)ヘーゲルは事後的証明(合理化)をして言った。キリスト教は 歴史的に発展したのだからキリストは神なのだと。これに対してキルケゴールが強調したのは卑俗な姿で現れている神としてのキリストに”同時代”で向き合うことの重要性だ。しかしここで書いておかねばならないのは、キリストを神として認識するために使える根拠はないということである。これを認めるには”飛躍” ”暗闇の跳躍”が要請されるのだ。

 

Saussure was aware that in the comparison or translation of two languages, the translator, even if bilingual, necessalily places himself or herself within one or the other of these language at a time. There is no universal, neutral position in between languages.

(意訳)ソシュールは二つの言語の比較あるいは翻訳において、たとえバイリンガルであろうと翻訳者は必然的にいったんそれらの言語のうちのいずれかに自身を置かねばならないということに気づいていた。 言語間には普遍的、中立的立場はないのだ。

 

 

 いかがでしたでしょうか? この3点を意識して読めばたとえ高度な文章でも内容把握に役立つものと思われます。‟歴史と反復” ‟キルケゴールのキリスト観”、‟言語における基礎の不在”その参考文献をあげておきます。

 

 

 

ルイ・ボナパルトのブリュメール18日―初版 (平凡社ライブラリー)

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言葉とは何か (ちくま学芸文庫)

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