英文を読む

楽しくスリリングな読解を心がけてます

SECTION 2-2 補足

 目的語Oが主題になるレアな構造をもう一つ発見いたしましたので、前回の記事と合わせて読んでもらえれば幸いです。

 

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 第3文型でありながら、O S V の語順をとります(もちろんOとSの間に関係代名詞が省略されているわけではありません)。用法は

a)強いコントラスト

b)強い前景化

 の2パターンありましたね。ここでは、強い前景化として使われているテクストを取り上げます。

 ①It seems likely  that  our biggest source of language enrichment in the future will be the "systems behavior" area. ②This is because an understanding of dynamic and interactive systems means a whole new way of looking at process rather than just at things. ③For this purpose we should begin to build an adequent vocabulary. ④When we have built this vocabulary and  assimilated the related concepts our understanding of the world around will be much improved. ⑤This I see as the next decisive step in our cultual development. 

(意訳)

①将来の豊富な言語の最も大きな源泉は”システム行動”の領域であろう。②というのは動的で相互作用する体系を理解するということは単に事態ではなく過程をみるという全く新しい方法だからだ。③このためにわれわれは充分な言語を構築しなければならない。④この言語を構築しそれに関する概念を消化したなら世界中の理解は大いに改善されるであろう。⑤これを私はわれらの文化的発展における決定的段階とみる。 

 情報構造を捉えるには法表現というのは大きな比重を占めます。これに関しては後のSECTION6で詳述しますが、①で出てきた語について簡単に触れます。このItは形式主語ですがItという語は客観性を含む。ただしItを受けるthatの前のseemsとlilkelyはこの客観性の度合いを弱めている。だからさらなる論証が展開されることを期待しよう。 It is possible , It is conceivableなどはより弱い客観性なのでこれもまた裏付け、展開は必要です。

 

 ①の主題はItから助動詞willの手前まで「将来、豊饒な言語の源泉」で題術が「システム行動」(the" systems behavior" area)   です。②の代名詞This は①全文をを受けていて接続詞because以下はその理由を表しています。③の冒頭の副詞句For this purposeは目的を表しますが、これが先頭に来ることで話が一歩前進し、ローカルな文脈に入っていくというイメージを持ってほしいです。他にも、理由・手段・譲歩などの副詞句が来ても同様です。

 

 副詞要素M2が主題の位置に来ることについては前にも書きました。確認のほどをお願いします。

 

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  ローカルな題術はwe should begin 以下です。④の副詞要素であるwhen節は主題であるが全文③の題術をそのまま受けています。our understanding of the world around 以下が主節となって新情報(題術)を導くのです。④には節と節の間にコンマがありません。そういう場合は相互に相関性・影響力が強いとみるのが一般的です

 

いよいよ今回のテーマ目的語Oが主題の位置に来るレアなパターンである⑤です。代名詞Thisは前文④の題術(=新情報)の位置にある主節を指している。つまり「私たちの世界観が大いに改善される」という意味を指しています。

 

 まずこのThisを目的語と捉えられるかどうかは構造分析の力次第ですね。Thisを主語SとみなしてI seeとの間に関係代名詞が省略されていると考えてしまうと主節となる動詞Vが見当たらない。この目的語Thisは強い前景化なのです